東京高等裁判所 昭和27年(く)24号 判決
抗告人は抗告人に対する国政変乱宣伝被告事件について昭和二十年二月二十八日東京刑事地方裁判所が言い渡した有罪の確定判決に対し東京地方裁判所に対し再審の申立をなしたところ同裁判所は昭和二十七年一月三十一日再審請求棄却の決定をなし右決定謄本は同年二月一九日その告知を受けたが全部不服であるから本抗告に及ぶというにある。
よつて按ずるに抗告人が昭和二十年二月二十八日東京地方裁判所において国政変乱宣伝罪(戦時刑事特別法第七条の四)により有罪判決を受け、これに対し上告を申し立てたが同年八月十日上告棄却の決定が宣告せられ右有罪判決が確定したことは本件記録に徴し明らかであり、また同年十月十七日勅令第五百七十九号大赦令第一条第五号により同年九月二日前に戦時刑事特別法第七条の四の罪を犯した者が赦免せられるに至つたこと、及び同年十二月二十日法律第四十七号戦時刑事特別法廃止法律が公布せられ昭和二十一年勅令第十二号を以て昭和二十一年一月十五日戦時刑事特別法が廃止せられたことはいうまでもないところである。従つて抗告人に対する前記有罪の確定判決は大正元年勅令第二十三号恩赦令第三条第一号昭和二十年勅令第五百七十九号大赦令第一条第五号により昭和二十年十月十七日以後その効力を失いこれにより抗告人は青天白日の身となつたものであるから抗告人がこれに対し無罪を主張して再審を請求することは許されないものと解すべきである。それゆえ原審が本件再審を理由がないとして棄却したことは結局相当であるから本件抗告は理由がない。